この記事をお読みに慣れている“人事”に関わる方々は、採用広報という言葉を耳にされたことがあるかと思います。
特に新卒採用を行っている企業の人事に関わる方々は、昨今の“採用”を取り巻く環境の変化の激しさについては熟知されていらっしゃるでしょう。ですから、多くのソースから様々な情報を収集する中で“採用広報”という言葉に触れることがありますよね。
では採用広報とは何を目的とし、具体的にどのような活動をしていくことを指すのでしょうか。
今回は、「ナビラズ」という学生の声を元につくられた採用広報メディアを運営する編集部が、採用広報の詳細や利点、難しい点などについて以下にまとめました。
記事を最後まで読んでご不明な点があれば、ぜひ巻末の問い合わせフォームからご連絡をお待ちしております。
採用広報とは:短期的にエントリーを集めるワケではない
新卒採用における採用広報の目的を端的にご説明すると、学生に自社を知ってもらうための活動です。
まずは学生の視点で就職活動の流れを挙げてみましょう。
①企業を知る
②企業を詳しく知る
③応募するか判断する
次に、それぞれのステップにおける学生のニーズには違いがあります。
①企業を知る
・企業の名前をとにかく知りたい
・業界について広い情報が欲しい
②企業を詳しく知る
・どんな仕事をしているのか知りたい
・どんな雰囲気なのか知りたい
・どんな人が働いているのか知りたい
③応募するか判断する
・ライフワークバランスを元にした判断をしたい
以上のように学生の就職活動はそのステップを3つに分けることができ、ステップごとに求めている情報には違いがあることが分かります。
まずは多くの企業と業界について知る、次にどんな仕事をしていてどんな思いを持っている会社なのかを知る、最後に勤務地や給料待遇を元に自身が求める生活を送れるかどうかを判断して企業を選ぶ、という流れです。
①から③までのステップはありますが、その全てを学生が実行しているわけではなく、就職活動にどれだけの時間やコストをかけているかによって変動します。
いわゆる就職活動解禁にあたる大学3年生の3月から活動を開始する学生は、②から③の情報収集を行っていることが多くあります。また、大学1年生から就職活動を意識している学生は①と②の収集に時間をかけています。
ここまでご説明したステップ別で学生に対して訴求するべき情報を、①認知タイプ ②研究タイプ ③応募タイプ と分類します。
そして、この章のテーマである採用広報とは3つのタイプのうち、認知タイプ・研究タイプの情報発信を行う活動です。
学生にまずは知ってもらう・学生に詳しく知ってもらう、といったように「学生からの認知と理解を目的にした」活動を採用広報活動と言います。
③応募タイプの情報発信は、学生からのエントリーを目的とした活動であり、採用広報とは異なります。
採用広報により自社を認知した学生のことを母集団と呼ぶこともあり、母集団形成とは採用広報によって行われるものです。
気をつけなければいけないのは①認知②研究タイプの情報発信をする採用広報活動と、③応募の情報発信を同義と認識しないようにすることです。
学生からのエントリーを促すための③応募情報では、高い給料を新入社員に対して支払う企業はその点をアピールしますし、福利厚生が充実している企業はその点をアピールします。
エントリーをしてくれるかもしれない学生からの認知と理解を高めるのが採用広報。
認知と理解をしてくれた学生からのエントリーを促すのが③応募情報の役目です。
採用広報の利点
採用広報(認知タイプ・研究タイプの情報発信)を学生に対して行うことの利点は以下のように挙げられます。
学生の生活に馴染みのある企業さんや大企業さんは、すでに企業名を学生に認知されていることが多くあります。それとは逆に、中小企業さんの企業名を学生は知らないことがほとんどです。学生の声から生まれた採用広報メディア ナビラズの編集部は毎日のように現役学生さんとコミュニケーションをとることがありますが、「中小企業さんの名前をいくつ知っている?」と問い掛けると、その答えはほとんどがゼロ。まずは学生から企業名を認知してもらうことから採用活動は始まります。学生も企業名について知見が狭いことはしっかりと自覚しています。しかし、採用広報を多くの企業が実施していないこと、実施されていても学生へ届いていないことが理由で、企業名を知ることすら難しい状況にあるのが学生です。
学生が企業について深く知るためには、情報が開示されているコンテンツに触れる、もしくは情報が開示されている場所へ伺うしかありません。情報が開示されている場所とは企業説明会やインターンなど。実際に企業の方々とコミュニケーションをとって肌身で情報を得られます。では企業について深く知るためのコンテンツとは何かというと、この後の章でご説明します採用広報の手段に当たります。これらによって企業さんに対して深い理解を持つことで、就職後のミスマッチを減らしたり、ターゲットとしていない学生からのエントリーを未然に防ぐことができます。
採用広報の実施方法:手段は限られている
採用広報とは学生からの認知と理解を高めるための活動ですが、その手段にはどんなものがあるのでしょうか。
採用広報について説明されたコンテンツでは「オウンドメディア」「ペイドメディア」「アーンドメディア」というカテゴリーを紹介されることが多いですが、この記事では具体的な手段についてご説明したいと思います。
オウンドメディアを採用広報で活用するには
オウンドメディアは企業が自社で運営するメディアのことを指します。主に、会社ホームページ(コーポレートサイト)、採用サイト、ブログなどが挙げられます。
- 採用広報における会社ホームページの活躍ドコロ
- ・検索エンジンにて「企業名」で検索した際に、上位表示されることから学生のクリックを促進することができる
・ホームページという存在に対しては学生からの信頼も厚い
・自社の理念、事業内容、組織構成、代表の挨拶、写真など社内の情報について発信することができる
- 採用広報における会社ホームページの苦手なトコロ
- ・企業名を知られていなければ検索されることはない・ホームページ制作を外注している場合は、掲載情報の更新に工数がかかるため情報の新鮮さが欠ける
・学生がホームページの読み方(見方・使い方)を知らないことが多いため、深い理解を得られないこともある
・ホームページは学生向けだけでなく、取引先向け、新規顧客向けにも作られていることがあるため、学生にとっては理解が難しい情報である場合が多い
- 採用広報における採用サイトの活躍ドコロ
- ・会社ホームページとは分けて、学生に向けたサイト構成がされていることから、情報獲得のためのハードルは下がる
・学生のために採用サイトを作ってくれるという好印象を与えることができる
・就職活動に特化した情報の作成と発信を行うことができる
- 採用広報における採用サイトの苦手なトコロ
- ・会社ホームページと同じく企業名を知られていなければ検索されることはない
・企業ホームページと同じくサイト制作を外注している場合は、情報の新鮮さが欠ける
・採用サイト内でエントリーを促す訴求が多いことから、学生が気圧されることがある
・エントリーを目的にした構成であることから、掲載されている情報が適切なのか(本当なのか・誇張ではないか)不審に思われる
- 採用広報におけるブログの活躍ドコロ
- ・会社ホームページや採用サイトよりもエンタメ性や実用性高い
・会社の情報について継続的に発信することができる
・採用に関わらないテーマからも学生に自社の認知を広めることができる
- 採用広報におけるブログの苦手なトコロ
- ・コンテンツ制作に工数がかかり、人的、時間的リソースを多く割くことになる・SEOやコンテンツマーケティングに関わるノウハウが必要である
・次年度やその先も採用活動をするのではれば、ブログのテーマが枯渇する
SNSを採用広報で活用するには
SNSを活用した採用広報に力を入れる企業も多くあります。
実際に、学生はSNSに触れる時間が長い場合が多いこともあり採用広報を実施するには良いプラットフォームであると言えます。
採用広報で活用できるSNSは「X(前Twitter)」「Instagram」「TikTok」「YouTube」「音声媒体(Podastなど)」と幅広く存在し、それぞれのプラットフォームでの採用広報が成功すればとても多くの学生からの認知を得られることとなるでしょう。
- 採用広報におけるSNSの活躍ドコロ
- ・学生が触れやすい動画や写真などでの採用広報が可能
・発信された情報は新鮮であり、また蓄積されるものである
・特定の地域だけではなく全国の学生への採用広報が可能
・難しい、堅苦しいといった就職活動のイメージとは違い、楽しい、面白いといったエンタメ的なイメージで採用広報が可能
- 採用広報におけるSNSの苦手ドコロ
- ・コンテンツ制作に多くの工数が必要となる
・社内にSNSにまつわるノウハウを持った人材が必要となる
→いない場合は外注をすることになるため費用がかかる
・ネットリテラシーや流行(良いもの・悪いもの)に敏感でないと炎上することも有り得る
・エンタメとして消費されるだけで終わる可能性もある
スポンサー活動を採用広報で活用するには
学生からの認知を得るための採用広報の一環として、学生が関わる催しや団体に協賛するという方法があります。
スポンサー契約の内容によりますが、多くの学生から企業名を認知してもらえる機会もあるのがスポンサーでの採用広報です。
例えば学生が主催者や参加者となるイベントへの協賛という方法があります。これにより、イベントパンフレットや会場の看板等に企業名を掲載したり、場内アナウンスや映像内で企業名を発信することができます。
また、学生団体やサークルなどに協賛することで、より密な関係性を作りながら採用広報を実施することができます。
- 採用広報におけるスポンサーの活躍ドコロ
- ・学生が関わるイベントや団体に協賛することにより、学生フレンドリーなイメージを与えつつ採用広報を行うことができる・情報を届ける相手を目にすることができる(オンライン上での情報発信よりも実感を得られる方もいる)
・協賛がきっかけとなり、学生とのコネクションを得られる場合がある
- 採用広報におけるスポンサーの苦手なトコロ
- ・短期的もしくは限定的な採用広報である
・費用がかかる
・スポンサー企業の紹介方法によっては認知を得られないこともある
広告媒体掲載を採用広報で活用するには
学生からの認知を得るために費用をかけて広告媒体に掲載を依頼するケースも多くあります。
SNS広告やwebメディアでの掲載などその方法は多岐に渡ります。
- 採用広報における広告媒体への出稿の活躍ドコロ
- ・各種広告媒体に関わる学生へ採用広報活動を行える→母集団形成を自社で行わなくて良い
・社内のリソースが不足している場合でも採用広報を実施できる
・webメディアでの掲載の場合は、第三者による紹介をしてもらうことができる
- 採用広報における広告媒体への出稿の苦手なトコロ
- ・費用がかかる
・短期的な採用広報活動となる場合がある
・自社にノウハウが蓄積されない
説明会・インターンシップを採用広報で活用するには
多くの企業が採用活動の中で行う説明会。
また、近年ではインターンシップという活動も当たり前のようになってきています。
説明会は主に2種類あり、合同説明会と単独説明会があります。
合同説明会の場合は多くの企業が出展していることから、それに比例して参加する学生の数も増えますが、有名企業や会場での展示が上手な企業ばかりに学生が集まることもあります。
企業が単独で行う説明会では、自社の紹介についてたっぷりと時間をとったり社内見学なども取り入れながら説明を行うことができますが、参加学生を集めるためには多くのリソースを必要とします。
インターンシップとは、元来、在学中に就労経験を得ることで卒業後の活躍の期待値を上げることを目的とされていました。
しかし、現在では個別説明会、職場体験というようなイメージでインターンシップという言葉は使われることが多いです。
説明会やインターンシップは採用広報の中でも②研究タイプor③応募タイプの情報であり、その価値を存分に発揮するには①認知タイプの採用広報が重要です。
①認知タイプの採用広報が不足すると、採用活動の中で課題となる「エントリー数が少ない」「自社が求める人物像と違う」といったことが説明会やインターンシップでも起こり得ます。
採用広報の注意点:学生を深く知ったうえで行わなければならない
採用広報とは、学生に対して①認知タイプ②研究タイプの情報発信をすることにより、自社について認知してもらう、理解を深めてもらうための活動です。
さらに採用広報の手段は複数あり、それぞれに得手不得手があることをご説明しました。
採用広報を行うことにより③応募タイプの情報を収集し、エントリーしてくる学生を獲得できるようになります。
では、採用広報を行う際に注意したい点はどのようなものなのでしょうか。
闇雲に情報発信をしていても効果はなかなか出にくいものですし、思いとは裏腹にマイナスなプロモーション活動になってしまう場合もあります。
それらを未然に防ぎ、効果的な採用広報を実施するには学生の知りたいことを発信する、学生が理解しやすいように発信することが重要です。
採用広報の注意点:学生の知りたいことを発信する
採用広報とは学生からの認知を高め、理解を深めることを目的とする活動です。
採用広報の活動の中では「企業が伝えたいこと」と「学生が知りたいこと」のバランスを調整することが、より効果的な認知獲得に繋がります。
仮に、企業が伝えたいことばかりを詰め込んだコンテンツでの採用広報活動をした場合、情報を受け取る側である学生には負担がかかります。
そこで学生が知りたいことに耳を傾けたコンテンツ制作が重要です。
現役学生が知りたいことを企業の方が知るには以下の方法が挙げられます。
・アンケートを実施して回答を収集する
・面談やヒアリングを実施する
・ご家族やご友人の現役学生に相談する
学生の生の声を元に訴求をすることが、より適切な採用広報に繋がります。
そして、学生が知りたいことと発信している情報の不一致防止になります。
学生が理解しやすいように発信する
採用広報のために学生の声を集め、学生が求める情報を発信できる状況になったとして、情報の伝え方も重要です。
採用広報の中で学生に向けたコンテンツを作成する際には、学生の言語レベル・知識レベルに合わせた発信が必要です。
また、現代のコンテンツの特徴に合わせた読みやすさや見やすさにも注意しなければなりません。
伝え方に配慮をすることで学生が理解しやすい採用広報を行うことができますし、正しい理解を促す採用広報を実施することができます。
採用広報のまとめ
採用広報とは学生から自社の認知と理解を高めるための活動です。
学生からの応募(エントリー)を促すための情報発信活動と採用広報は異なるものであり、応募をする学生の数を増やすための活動といえます。
採用広報には多くの手段がありそれぞれ利点と不利点がありますが、採用広報においては学生が知りたいことの発信、学生が理解しやすい内容の発信が重要です。
採用広報を充実させることにより、新しい採用活動の在り方を作り上げましょう。
学生の声から生まれた採用広報メディア ナビラズは
・採用広報のためのweb記事を発信するメディア
・現役学生ライターが企業へ取材をし、学生の知りたいことを収集せずとも体感しながら採用広報が可能
・現役学生ライターが記事を執筆するため、学生ならではの言語表現で採用広報が可能
・福岡の中小企業に特化したwebメディアのため有名企業との競争がない
ナビラズではコンテンツ作成から掲載、そして運用までを行うことができます。
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