【日伸産業株式会社】〜会社という家族の「お父さん」である覚悟〜

日伸産業株式会社さんのサムネイル写真

福岡市中央区・港町。

賑やかな天神から車で約10分。博多湾から磯の香りがほのかにする場所に、日伸産業株式会社の本社がある。

博多湾の写真。日伸産業株式会社さんのオフィスの目の前です。

「こんにちは!わざわざ来て頂いてありがとうございます。それにしても今日はとても暑いですね〜」

出迎えてくれたのは、爽やかでかつエネルギッシュな雰囲気の植木社長。応接室に足を踏み入れた時に感じた熱気は、決して、気候のせいだけではないと思う。

日伸産業株式会社さんのオフィスの前で一枚パシャリ。

日伸産業株式会社さんのホームページはコチラ

日伸産業 株式会社

ロープ・ワイヤ・船/漁具・クーラーボックス産業資材の総合商社日伸産業株式会社  弛まぬ企業努力とみなさまの暖かいご支援に…

日常にある私たちの知らない世界

日伸産業株式会社はワイヤロープ、繊維ロープ、染料を主な事業内容とし、製造メーカーでありながら総合商社でもあります。

ロープって意外と身近なところにたくさんあるんです。たとえばワイヤロープ。みなさんスカイツリーに登る時、エレベーター使いますよね?エレベーターはワイヤロープがなければ機能しません。エレベーターに限らず自転車のブレーキなどにも使われていたりと、みなさんの生活を便利にするために様々な場所に使われているんです

社長のお話を伺っていると、ただのロープが私たちの生活に欠かせない命綱のように思えてきました

日伸産業がつくるのは海と陸を繋ぐ命綱

工事現場などに張られている細い繊維ロープから、大きなものを引っ張る細い鉄を編んで作るワイヤロープまで幅広い種類を扱っていますが、主な市場としているのは「造船」です。

船を作るときは一つひとつブロックを積み上げていく建造法を使います。そのブロックを吊り上げるときに使われるワイヤロープの製造において、日伸産業さんは九州でも唯一の機械を取り入れ、豊富な種類を取り揃えています。

ワイヤーロープとは細い鉄を何本も撚り合わせて、一本の太いロープにしたものです。日伸産業株式会社ではワイヤーロープの太さを3mm~88mmまで取り揃えています。これらの種類を扱っているのは九州では我が社しかありません。それは、この油圧プレス3000トンという九州で一台しかない機械を所有しているからなんです

大きな油圧プレス3000トン。
工場に足を踏み入れ最初に目に入ってくる、とても大きな油圧プレス3000トン。真ん中にある型の大きさによってワイヤロープの太さが変わってくるそう。

 

日伸産業株式会社さんで作られたワイヤー
人の手で編み上げたとは思えないほど綺麗な曲線が重なり合っています、美しい…

日伸産業が行うお客様に必要な会社づくり

「私はよく社員に言うんです。売るという言葉ではなく、お客様に買っていただくというのが本当だから常にお客様の立場になって物事を考え、買っていただくには何が必要なのかを考えなさいと。本当にお客様が必要としているのは何なのかを貪欲に考え続けなければいけないと言うことを伝えています」

「私はそういったお客様のニーズにとことん応えられるような環境や設備を整えていくことも大きな役目だと思っています」

実際に社会で働き、自分がものを売る側に立つと「お客様目線」って忘れてしまいがちですよね。

私は社長のこのお話を聞いて、「お客様目線」と言葉にするだけではお客様のことを考えられていないように思いました。

お客様と自分、二つの立場上の乖離を理解したうえで、「買っていただくには何が必要なのか」を冷静に追求し続けることが本当の意味での「お客様目線」なのではないかなと改めて考えさせられました。

日伸産業株式会社さんで働く職人さん
一本一本、丁寧にかつ素早く鉄を編んでいく姿はまさに職人技でした。

日伸産業株式会社では会社の顔として日々お客様と向き合う営業その営業を支える管理部経理の面から会社を支える総務経理部、そして日伸産業株式会社が誇る技術を持った製造部と言う大きく4つの部署があります。

発展性・継続性・好感度を行動指針とし、常に強い責任感と大きな信頼でお客様にとって存在価値のある企業を目指しています。

そして全ての従業員が社会で働く上で、経営理念である「お客様に必要とされる会社づくり」に共感し、お客様から今以上に必要とされるにはどうしたら良いのかを組織全体で考え続けてきました。

みなさんは何のために社会で働きますか?

お金のため、良い休日を過ごすため、自分自身の成長のため。

それぞれに働く目的があると思います。

日伸産業株式会社は、お客様に必要とされるにはどうしたら良いのかを一人ひとりがジブンゴトとして考え行動することで、社会に対して価値を与え続けています。

自分たちの会社がここまで続けられてきたのはお客様がいてこそだという思いや、そんなお客様、広く捉えるとそういった社会に対して何か恩返しをしたい、支えたいという思いまで伝わってきたように感じました。

私たちが作っているものってなかなか知らない人が多いんです。私たちがニッチ産業と呼ばれるあまり知られていない分野で活動しているので仕方のないことなんですけどね(笑)このニッチ産業で生きていくには自分たちから営業をしなくてはいけないんです。

でも本当に必要とする人には、私たちが作るものってかなり刺さるんですよ。なのでしっかり必要としてくださる方々に届くように資料を作ったり、プレゼンしたりするとお買い上げいただけるのかなと思います

日伸産業株式会社の植木社長とライターの大塚

聞き上手である人は営業に向いていると私は思います。聞き上手だからこそ提案できることってたくさんあるんです。私はお客様のニーズを引き出すために最低3つ「なぜ」を繰り返すことにしています。例えば、なんでその商品を使われているのですか?とか。そこから今の悩みを引き出し、解消できる自社の商品を適切に伝えると言うのが一番良いと思います

皆さんは話している相手から「なぜ」と繰り返し聞かれると、答えるために自分の中であれこれ考えますよね?
そうすると、自分の中で声にならなかった複雑な思いが、一つの言葉となって現れてくるんです。

そして自分の本当の悩みや思いに初めて気づくことができます。

営業に置き換えて考えてみると、自分が営業先の方に「なぜ」と繰り返すことで、その人の本当の悩みや思いを整理するお手伝いをすることができるということだと思います。

対話を通して浮かび上がった一つの答えのようなものが互いに理解できた状態ならば、あとはそれを解決する提案をするだけです。

「営業は聞き上手が向いている」と言うのは、「聞くことで相手の思考を整理するお手伝いが上手である」とつながるのかもしれないなと感じました。

お客様と私たちの接点は仕事です。むしろ仕事でしか関われない人たちがほとんどです。そんな方たちとの仕事を全うするために、毎日真摯に向き合うことが大切だと思います
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福岡市中央区港町にある船具屋です。 合繊ロープ・ワイヤロープ・塗料を3本柱とし、船具、漁具、電力関係など幅広い商品を取扱…

日伸産業のお父さんとしての覚悟

私は会社のみんなのことを家族だと思っています。実は私生活では奥さんと子供が3人いるんです。自分の子供たちを見ていても思うことなのですが、同じ環境で育ってきたはずなのにそれぞれ性格が全く違うんですね。
会社も一緒です。出来の良い子も悪い子もいて、そのわずかな能力の差で上司や部下という関係が生まれてきます。これは育ってきた環境も、行った学校も違うので当然のことです。それでも同じマニュアルの中で、一人ひとりが自分の能力を100%発揮できるようにするのが会社だと思うんです

会社という組織を運営していく上で上下関係が生まれ、地位や給料に差が生まれてしまうことは仕方のないことです。

しかしそこに愛情の差は存在しません。

植木社長は会社を引っ張っていくお父さんとして、皆に同じ愛情を注ぎ、その人がその人らしく最大限の魅力を発揮できるよう努力し続けていらっしゃいます。

工場には定めた目標や、その目標に対する項目が詳しく掲示されています
工場には定めた目標や、その目標に対する項目が詳しく掲示されています

その中でもやはり社長自身、苦労することはたくさんあるそう。

さっき、私は会社みんなのことを家族だと思っていると言ったのですが、やはりお父さんのことを好きでなければ良い関係だとは言えませんよね。娘さんがお父さんのことを嫌いで反発ばかりしていたら、何だか家族全体が不穏な空気に包まれますよね(笑)会社も一緒です。
お互いがお互いのことをスキで、会社のため、みんなのため、そして自分のために頑張るという精神論的なものを、大人である社員に理解してもらうのは難しいなと感じています。みんなそれぞれ大人で、自分の考えを持っているから難しいのですが、そこをどうにかする!というのがお父さんとしての覚悟です

植木社長はこの課題を、各部署それぞれにとあるミッションを与え、年齢に関係なく意見を汲み取るような仕組みを造り、解決していこうとしています。

私が毎年1年間の計画を立て、「こういったことをする」という目標を決めます。その目標に対して各部署にテーマを与え考えさせます。
今年の目標は「現状否定による業務改善」としました。そして現状否定についてそれぞれの部署で考える機会を与えたんです。もちろん私自身も今の自分を否定し、社長でいいのか?と自問自答を繰り返しました。そうすると、今の自分に足りないところがだんだん見えるんです。
おそらく多くの方は、自分に不足しているものが可視化されてくると、その穴を埋めようと努力し勉強しますよね。それと同じで、それぞれが自分の成長のために考え、行動し始めるんです。今、日伸産業株式会社で働いている社員数は54名です。その54名一人ひとりが考え、知恵を出し合えば会社はどんどん良い方向へ変わっていくと思うんです

私は、現状否定を行うことで社員に対して自分自身の成長を促し、その成長が会社全体の成長につながることを実感してもらおうとしているのではないかと感じました。

成長を今すぐには感じることはできないのかもしれませんが、自分たちがこの会社、ないしは社会までも変えていくんだという強い思いを「現状否定」という言葉を通して伝えようとしていたのだとも思います。

植木社長に工場を案内してもらいました。

そんな家族に対して愛情を惜しみなく注ぎ続ける植木社長は、この日伸産業株式会社に入社を決める際、とても珍しい体験をしていらっしゃいました。

就活をしていた当時の私には譲れないものが2つありました。まずは中小企業であること。そして営業職であること。特に私は、家族みたいに温かい環境の会社で働きたかったんです。新しく入ってくる社員の名前も分からないような企業は嫌だという思いを持っていました。その中でたまたま見つけた日伸産業株式会社の試験を受けに行ったら、当時の社長に「明日からアルバイトに来い。」って言われたんです。ありえないでしょ?試験中なのに(笑)
もう何回も言われたから根負けしてアルバイトをし、アルバイトが終わった3日後に内定の通知が来ましたね。すごく変わった会社だなと思いましたけど、決断力の早さや社長の人柄に魅了されて入社を決めました

中小企業のように小さくも人の温かさに溢れた企業で働きたいという思いは私をはじめ、そう望んでいる学生も多いのではないでしょうか?

植木社長のこのお話で私が注目したのは「社長が新入社員の名前もわからないような会社は嫌だ」という言葉です。

この言葉の裏には「自分という人間が会社の一員として、社会に対して価値を生み出したい」という強い願望が読み取れたように感じました。・・・深読みし過ぎでしょうか(笑)

学生と社会人の大きな違いは「自ら能動的に何かを生み出すこと」だと思います。

いつまでも受け身で与えられたことをしていては永遠に「学生」のままです。

社会人になるということは、この先の社会を自分の力で少しでも変えてやる!くらいの気持ちが必要だと私は思っています。

大手企業の方が良い、中小企業の方が良いという話では決してありません。

植木社長は自らの力で社会に価値を生み出す手段として「中小企業に勤める」という選択をしただけなのです。

当時の社長は今や相談役として会社を支え、植木社長は今でも経営などに行き詰まると必ず相談に乗ってもらうほど良い関係が続いているそうです。

最後に、今や新しい人材を選ぶ立場になった植木社長にとって、魅力ある人とは具体的にどのような人なのかをお聞きしました。

私は自らチャレンジしていく人を大事にしたいと思いますね。家族でもそうだと思うんです。自分の子供が「習い事をしたい」と言ったらさせてあげるのが親の役目だと思いますし、チャレンジするからこそ失敗もあるとは思いますが成功もあるんです。そう言った勇気を持っている人は素晴らしいと思います。

日清産業株式会社さんのお話を伺って

今回の取材はかなり専門的な分野で、知らないことが多く難しいなと感じていましたが、ロープは意外と私たちの身近にあること、そして理解されづらい自社の商品を多くの人に届けるために日々努力を惜しまない姿には大変驚かされました。

お客様に必要とされ続けるために。

たったこの一言に日伸産業株式会社の魅力が詰まっていると思います。

経営理念にも通ずるこの言葉は、社員全員の共通認識として創立からの52年間、会社の基礎を支えています。

そして植木社長自身は社員全員のお父さんとして、時には厳しく、そして惜しみない愛情を注ぎながら一人ひとりの成長を見守ってくれています。

中小企業だからこその温かさが存分に伝わる日伸産業株式会社の事業内容などを、もっと詳しく知りたい方はぜひホームページを訪れてみてください!

Navi-razでは残り2回の取材を行います。そこでは働く社員さんを通して詳しい事業内容や、会社の雰囲気、個人の考え方を紐解いていきたいと思います。

次回も福岡の就活生の方にも、社会人の方にも楽しんでいただけるインタビューになること間違いなしです!

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第二回目取材

福岡市中央区・港町にある日伸産業株式会社(以下:日伸産業)はワイヤロープ、繊維ロープ、染料を販売する総合商社でありながら、製造メーカーでもあります。 ロープ?? あまりピンときていない方も多いかもしれません。しかし、ロー[…]

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