福岡市三筑、“設計”を通して、みなさんの生活を支える株式会社フタバ設計(以下:フタバ設計)さんの本社があります。
フタバ設計さんが行うのは公共事業。
つまり、みなさんが街を歩けば目に入るモノから、気がついていないけれど必要不可欠なモノまで、“思いやり”と“誇り”を持って設計されているのがフタバ設計さん。
そして今回インタビューするのはフタバ設計の二場安之社長。
今回のインタビューで二場社長とお会いするのは3回目ですが、初めてお話をうかがった時から、二場社長のお考えになる“働き方”や“仕事に対する思い”はとても刺激的で、これまでに触れたことのないものばかりでした。
きっとこの記事も、これから社会に出ていく学生のみなさんにとって、記憶に残るものなのではないかと思います。
ぜひ、最後までご覧ください!
フタバ設計が考える“新卒採用の意義”
まずはじめにおうかがいしたのは“企業が新卒採用を行う意義”。
大学生活後半になると学生は当たり前のように就活を始めて、“新卒採用市場”に参入していくわけですが、そもそもなぜ企業は新卒採用を行うのでしょうか。
一番の理由は、企業がこの先も発展し続けるために必要な要素だからです。
もちろん、中途で採用した方が技術的にもビジネスマナーにおいても長けていることは明白です。
しかし、企業というのは生き物ですから、“新陳代謝”を促していかなければなりません。
人間と同じなんです。
新しい血液が作られずに、ずっと同じ血液では人間の体が本来通り機能することはなく、どんどん新しい血液が流れてこそ、人間はパフォーマンスを発揮します
企業は生き物だからこそ、新卒採用をすることに意義があるという二場社長のお話。
続けてこんなこともお話しいただきました。
逆を言えば、企業に属するメンバーがずっと同じでは必ずと言っていいほど、衰退してしまいます。
もちろん、企業に属するメンバーのスキルや人間性などが常にアップデートされた状態にあれば話は別ですが、全員がその状態にあることは簡単ではないんです。
だからこそ、企業は新しい風を呼び込んで、新陳代謝を促進していきます。
人間のお肌でいうターンオーバーのように、古い皮膚から新しい皮膚へと変わらなければならない。
これは企業にも言えることですし、一社会人にも言えることです
企業としても新たなエネルギーを取り入れなければならないし、社会人としても新しい刺激を受けていかなければならない。
それを効果的に促すのが新卒採用であるとのことです。
また、新卒採用と同時に新入社員教育も重要だと二場社長は話します。
先ほどもお話したように、中途で採用した人の方がいわゆるレベル感は高い傾向にあります。これは、基本的にはごく自然なことです。
しかし、一つの企業で長い間努力をして作られた“力”というのは、他には変えられない魅力があります。
その魅力ある力というのは“打たれ強さ”。
つまり、地に足がついた能力だし、少しのことではブレない力を持っているんです。
もちろん、転職活動を否定するつもりはありません。
ただ、一つの企業で“生え抜き”として成長してきている社員さんは、他とは違う魅力を持っているように思えます
転職時代という言葉があるように、色とりどりのキャリアを持っている方も多くいらっしゃいます。
しかしそれと同時に、“スキな企業を見つけて、成果に貢献し続けたい”と思う方がいらっしゃるのも事実。
忍耐力やハングリー精神を持つ打たれ強い人材となるには、学生のうちにどのようなことを経験すれば良いのでしょうか。
打たれ強さというのは元から持ち合わせている人もいれば、そうではない人もいます。
ただ、自分の意志や取り巻く環境によって獲得することができる力でもあると思うんです。
なので何か一つで良いから、目標を持って追求してみること。これが重要だと思います。
大学生の方々は講義を受けたり、お友達と遊んだり、アルバイトをしたりすると思いますが、通り一遍の活動ではいけません。
アルバイトであれば、バイトリーダーになるまでやるとか、店長クラスになるまでやるというように“他の人とは違う高さ”まで頑張ってみることで得られる力が“打たれ強さ”だと思います
確かに何か一つの目標に向かってひたむきに努力することで、打たれ強さというものは習得できそうです。
しかし、どうすれば日々の生活の中に目標を持って努力することができるのでしょうか。
例えば学生の方のお悩みの中に“自分にはどんな仕事が向いているか分からない”というものがあるかと思います。
ただ、その悩みは目標を持って努力することで解決に近づくと分かれば、きっと今までよりも努力を重ねると思います。
さらに若い方の“自分に向いている仕事が分からない”という悩み。
これは当たり前のことだと思うんです。
若者の経験値が少ないのは、普通に考えて当たり前なんです。なので、選択肢が少なくて当たり前。つまり、自分にどんな仕事が向いているか分からないのが当たり前なんですね。
ではどうすればいいかというと、真剣にアルバイトをしてみればいいんです。
努力してアルバイトをしているわけですから、どんどんと他のバイト生とは違う仕事を与えられるようになります。
気がつけば他のバイト生をまとめるリーダー的な役職に就いたり、社員さんたちと同じ仕事を任されるかもしれません。
そうすると、これまでには見えていなかったことが見え始めます。
それを繰り返していくうちに、自分が情熱を注げる仕事と出会うことができるんです。
すると気がつく頃には“興味のある仕事や業務”にも出会えるし、“打たれ強さ”も身につけられる。お得じゃないですか
確かにーー!とついつい心の声が口に出てしまいました。
そして、この話の最後には、
「もちろん、“忍耐強くできるまでやれ!”と強要することはありません。
その人の信念こそ、エネルギーです。」
とお話いただきました。
フタバ設計が社員教育で磨く“気づきのセンス”
ここまでは新卒採用に対するお考えをうかがいましたが、次にご質問したのはフタバ設計さんの社員教育について。
企業の新陳代謝を促すために新卒採用を行ったとしても、その後の社員教育が充実していなければ、新卒採用の本質は崩れてしまいます。
フタバ設計さんではどのような社員教育を行っているのでしょうか。
社員教育は何よりも難しいものですね。
一番難しいのは“それぞれの特性を活かす”ということ。
人間はそれぞれ十人十色ですから、仕事において得意とすることも様々です。
何も言われずに仕事全体をマネジメントして進めることができる人もいれば、依頼されたことをコツコツと積み重ねることが得意な人もいます。
なので、フタバ設計でまず行う研修は“広く浅く”仕事を経験してもらうこと。
様々な業務の経験をしてもらうことで、その人の特性を見出す。あとはその人の希望もしっかりと聞いたうえで、最適な配置を行います。
そうしていかないと、最大限パフォーマンスが発揮された状態は作れないんです
社員さんそれぞれの“特性”を引き出すことは、難しいと同時に重要であると話す二場社長。
しかし、それらだけが社員教育の目的ではないとも話してくれました。
広く浅く経験値を増やすことで、それまで自分が気づいていなかった特性を知ることもあります。
例え話ですが、ジャングルの中で動物と育ったターザンは、いつもと変わらず猿と木々を行き交っていますよね。
ターザンからすると猿たちと遊んでいるだけですから、なんら特別なことはないのですが、“普通”の人間からするとターザンがしていることってとても特別です。
つまり、社員さんがこれまで過ごしてきた環境や人間関係では気がつかなかった特性があるはずなんです。
なので、そこを引き出すことも社員教育の一環だと考えています
社員さんが気がついていない、もしくは当たり前だと思っている“特性”を引き出すことも社員教育の目的というお話はとても新鮮なものでした。
社員教育と聞くと、会社の規則やビジネスマナーなどを教える取り組みというように捉えてしまいがちですが、それだけで終わらないのがフタバ設計さんの社員教育。
そこまで社員教育に力を入れているのはなぜなのでしょうか。
特別力を入れているというよりも、会社全体のことや社員さんのことを考えれば当たり前だと思っています。
ただ、社員教育を通して一つ考えて欲しいことがあるとすれば“気づきのセンス”です。
社員教育は新入社員の特性に“気づく”ことを目標に会社全体で取り組んでいます。
では、気づきのセンスがなぜ重要かというと、まず何かに気づくというのは“理屈”や“論理”に気がつくということです。
例えば高速道路には“ETC”というものがありますよね。
何の気なしにETCを使ったり、口にしたりしますが、“そういえばETCってどういう意味を持った言葉なんだろう”という疑問に気がつくことで、ETCの理屈を知ることが出来ます。
これは仕事にも応用できます。
なぜ元請けはこういう依頼をしてきたのだろうと考えるとします。すると、その理屈が見えてくるわけです。理屈が見えると、設計がスムーズに進みますし、そのあと作業をする企業さんにとっても分かりやすい設計図が出来上がります。
そういう経験を増やすことで自分に自信が付きます。自信が付くと仕事に対してより一層面白さや楽しさを感じます。
つまり、“気づきのセンス”が“理屈を知る”ことに繋がり、それが“自信”に繋がるわけです
フタバ設計・二場社長が考える“設計の魅力”
ここまではフタバ設計さんの“新卒採用”と“社員教育”について教えていただきました。
最後に二場社長におうかがいしたのは、“設計というお仕事”について。
二場社長のこれまでの長いキャリアから弾き出されるお考えについてうかがいました。
私が考えているのは、設計の仕事は“職人技”であるということです。
つまり、唯一無二だということ。
たまにキャリアの相談を受けることがあるのですが、その中で“できるだけ楽で、お金はある程度稼げて、お休みが多い仕事をしたい”という話を聞くことがあります。
もちろんその考えを否定することはありません。
しかし、楽な仕事ということはおおよそ誰にでもできることですから、代わりになる人材がたくさんいるということです。
なので、ミスを繰り返したり問題を起こしてしまうとすぐに他の人と入れ替えられるということ。
つまり、唯一無二の仕事ではないからこその弱点だと思うんです。
そう考えると一般的に楽だと考えられている仕事って楽じゃないような気もします。
相対して設計のお仕事というのは10年やっても一人前になれるかは分からないものです。
一人前になるまでは時間もやる気も必要ですが、その先にはオンリーワンの存在になれるという強みがある。
それが設計だと思います
長い時間をかけて自分だけのスキルを身につけていく設計だからこそ、ここまでにお話しいただいた“気づき”が重要であると言います。
言われたことをやり続けていても一人前にはなれません。
自分で何かに気づくことが重要なんです。
もちろん実践的に設計について指導することもありますが、それと同時に基本を一緒に勉強することもあります。
例えば、実践的な指導のために若手社員さんと現場を見に行くことがあるのですが、その時は必ず運転を任せるんです。
するとその社員さんがどこまで気がついているかが分かるんですね。
現場までの道順を調べて頭に入れているかどうか、高速道路の料金を事前に調べてお金を用意しているかどうかなど、考えてみると車に乗るだけでも様々な気づきがあります。
こういうことに気がつけるかどうかはフタバ設計の理念のうち“思いやり”という要素にも関わります。
フタバ設計は公共事業を通して様々な方と関係を持ちます。その中で“思いやり”を持つことはとても重要です。
こんな具合に、日常の中でも気づきのセンスを身に付ける練習を繰り返して、“思いやり”と“誇り”を持った社会人として活躍していってもらえるように、私自身も色々なことに目を配っていかなければなりません
フタバ設計さんの“『思いやり』を持って”こと”にあたるプロ集団として豊かな社会づくりへ貢献する”という理念を達成するために、どんなことを行っているのかとても詳しく知ることができた二場社長のお話でした。
フタバ設計さんのお話をうかがって
今回はフタバ設計の二場安之社長にインタビューをしました。
新卒採用と社員教育という観点からインタビューをしましたが、“理屈に気づくセンス”の重要性を考えさせられる二場社長のお話でした。
お話ししていただいたフタバ設計さんの新卒採用や社員教育の実態には、全て理屈があって、それらは会社全体もしくは社員さんのことを思いやったものであるというようにも感じました。
お話させていただくたびにとても勉強になる二場社長のお話。
ぜひ第二回目のインタビュー記事もお楽しみに!